Re: スクラム開発チームと業務委託エンジニアの相性が最悪だと思っている
この記事を読んだ。
よーある話だなと思いつつ、「業務委託はダメで、社員ならOK」という話はちょっと話が雑だなあと思ったので、コメントを書く。
スクラムチームで人の出入りが激しいとキツイ
これはそう。 ただ、スクラムかによらず、出入りが激しいとキツイけど…
業務委託では、高パフォーマンス人材は単価つり上げがきつく、結果契約打ち切りになる
実際の事象としてはよくある話。ただし、業務委託のみの話ではなくて、社員でも「会社に不満があったからやめた」は良くある話。
たぶん、ここが気になるのは、このあたりの違いだとは思う。
- 報酬の見直し頻度
- 社員だと給与体系の見直しが年1回であるのが普通
- 業務委託だと契約期間ごと(業界慣習的に3カ月単位が多い認識)
- 条件交渉者が本人なのか営業なのかの違い
- 営業の仕事は売上を上げることなので、当然ガンガン言ってくる
- 対して社員が自分の雇用条件について、個人の資質はあるが、外部の営業と比べると全然よわい
業務委託は完全に商取引として行われるので、条件交渉が不調に終われば即撤退となる。もちろん、社員も不満があれば辞めていくのだが、業務委託の出入りの頻度に比べれば相当頻度が低いのはそうだと思う。
業務委託の単価を上げないためには
何を言ってるのかわからない…。社員は賃金を上げない前提なの?????、と書くとちょっと意地悪だろうか。
まあ、会社というか予算執行者の思考を考えるとわからんでもなくて、
- 社員の場合は賃金上昇率も含めて、予算計画を立てやすい
- 業務委託の場合、想定外の条件を提示されて予算額を超えてしまい、契約解除せざるを得なくなりがち
という違いかと思う。
全部直接雇用にしろ
これは日本の雇用環境(解雇規制)を考えると、一概に正解とは言えない。
元記事でも言及はあるが、業務委託であれば気軽に契約解除できるのに対して、社員であれば配置転換が原則となる。業務委託であればこそ、気軽に人を入れられるメリットがあり、トレードオフとしてコストは高くなる。
何がわるい?
大前提として、
- チームメンバーの離脱は減らしたい
- スキルが上がれば、契約形態に関係なく、報酬は上がるべき
これがある上で、問題となるのが、
- 業務委託では予算予見性が低く、契約改定のタイミングで離脱が発生しやすい
という点かと思う。単価が上がること自体は仕方がない。
この問題は、業界の商習慣から発生するギャップによって発生する。
- 受託側は単価を上げたい
- 対して発注側は単価を抑えたい
- 初回取引では期待値がわからない分、初回取引時は発注側がつよく出られるので単価が低くなる
- 契約更新時、抜けられては困るような人は受託側が強く出られるので、単価アップ要求が出る
- 単価アップ要求が折り合わなければ、契約解除
というロジックになるので、どちらが悪いというか、これでやってたら絶対にここから変わる余地がない。
業務委託ではこれが顕著だが、社員でもこれに似たことは発生していて、単にサイクルが長いか短いかの違いである。
積極的に契約に関与していくしかない
この手の話では散々言われていることだが、チームが自分達の契約に積極的に関与していくしかない。
業界慣例通りにダラダラ契約してるから、問題が発生し続ける。だから理想は、チームとしてチーム内の予算決定権と人事権を持つことである。
特に初回取引時は、発注側の予算感や受託側の希望単価についてちゃんと話す
- 初回取引時、受託側は暗黙的に販促費込みの割引単価を提案するスタイルの営業が多い(業界の慣習)
- 発注側は割引単価に悪ノリしない
ここをクリアにしておくことで、予算予見性が上がる。希望額を聞いたうえで「初回はスキルレベルがわからないので安くしてくれ」というのは応相談できるレベルの話である。
柔軟に契約条件を探る
もちろん受託側の希望単価では折り合わない可能性はある。そこで終わらせずに、週3日稼働ならどうかとか、業績連動報酬ではどうかとか、交渉に使える材料は色々ある。
自分達で受託会社を開拓する
大手であったり古臭い営業スタイルの受託会社では、そもそも柔軟な契約条件を受け入れる可能性が低い。
こういった会社から提案を待っているだけでは解決しないので、柔軟に対応してくれる会社(フリーランス含む)を積極的に開拓していくしかない。もちろん、相応の労力が必要になるが、楽して都合の良い会社を集めたいというのは虫がいい話である。
さいごに
業務委託であっても、柔軟に契約条件を相談できる相手であれば、ちょっと話が折り合わなかっただけで即契約終了になるとは限らない。
業務委託に不満があることは事象として受け止めたうえで、実は自分達でそういう相手ばかりを集めてるような環境になっていないかは疑ってみてもいいかなと思う。
補足:弊社デンキヤギでは受託も発注もこういう感じの契約が多く、数年単位でお付き合いしてる事例も複数あるので、再現性のある話。