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GitHubに会社の就業規則を公開した

これです。

ちゃんと社労士チェックを入れて、2014年時点の法運用Validな感じにしてあるので、下手な中小企業はおろか、ろくにメンテされていない大企業の就業規則よりマトモな内容になっているはずです。

なんで就業規則を公開したのか

  • マトモな規則が作ってあれば公開しても特にデメリットはない
    • むしろマトモな会社アピールができてよい
      • 個人的には「無限RedBullです!!!!」みたいな事をアピールする会社よりマトモな広報・求人活動の一環だと思っている
  • 自分で就業規則を作ろうにも、良いサンプルがなかった(後述あり)
    • いわゆるOSS的な話。就業規則にも再利用性が合っても良いはず
      • これを書いてて、就業規則にライセンスを明示するのを忘れていたことに気が付いた
  • GitHubだと、就業規則の改定にプルリクを飛ばせて楽しいし、改定履歴も一目瞭然

零細企業就業規則って要らないんじゃないの?

従業員が10人未満であれば、労基署への提出義務はありません。ただ、それが就業規則は不要と結びつくかと言えば微妙なところで、仮に明文化なされていなくても、「給与額はどう決めるの?」「残業代は?」「有給日数は何日?」のような取り決めは必要です。もし、ルールが明文化されていない場合は、従業員側は雇用者が毎回違う事を言っていたとしても従わざるを得ない状況になる可能性があります。

無用な雇用トラブルを避け、かつ、従業員のことを考えるのであれば、ルールの明文化は必須で、それが正に就業規則そのものになります。

就業規則を自分で作ること

コスト感

結果から言うと、無料(自分の工数だけ)で就業規則を策定することは可能です。サンプルを元に自分で規則を執筆して、地方公共団体の無償中小企業支援を利用して規則をチェックしてもらうという形式であれば、委託費はかかりません。

うちはこの方法で就業規則を作成しましたが、費用をケチった分の労力に見合うかというと、かなり微妙なところです。

就業規則の作成を社労士事務所に委託すると、ひな形に穴埋めするだけでも30万円程度が相場です。更に会社の実態に合わせていったり、理想とする制度の設計までをやっていくと、最悪ケースで100万円ぐらいはかかってきます。

うちの場合、制度設計をがっつりやった面はありますが、完成まで9ヵ月間、実働工数で2人月分ぐらいはかかっています。売上的には何も生まない2人月分の作業が100万円程度で済むのであれば、どっちが良いのかは微妙なところかと思います。

仮にテンプレートやサンプルに穴埋めするだけと仮定しても、実働で2人週とかはかかると思います。これが30万円で済むと考えると、やはり微妙なところになるかと思います。

テンプレートを修正するだけでも、そんなに時間がかかるの?

うちも当初は「世の中にあるテンプレートを修正するだけならすぐに終わるでしょ」という目論見で作業していたのですが、結果は前述の通りです。

まず前提として、就業規則を作ったら、必ず社労士にチェックしてもらう必要があります。これは絶対です。

理由としては、条文を自然言語で書くので当然解釈のゆれが発生しうる内容を書いてしまう場合もありますし、そもそも条項の考慮漏れ(仕様バグ・脆弱性)が発生する可能性があります。もし、これを放置したまま就業規則を施行すると、無限有給・青天井給与みたいな事が可能になります。

例えば、

  • 無断欠勤が解雇事由に相当する旨の記載がない
  • 欠勤時の賃金減額の条項が甘く、1か月丸々出勤していなくても交通費は減額されないことになっている

みたいな組み合わせで、無断欠勤していても解雇することができず、交通費をずっと払い続けざるをえない状況が発生し得ます。仮に裁判に持ち込んでも和解が落としどころで、ある程度の金額を払わざるを得なくなる可能性があるでしょう。

追記:その他、ありがちな例として「無限祝い金」があります。結婚すると祝い金が出る=離婚+結婚を繰り返すと、無限に祝い金が引き出せます。対処法としては、上限回数を設けることになります。

更に厄介なことに、労働者保護の観点から、就業規則は不利益変更(従業員の不利益に繋がる条項改定)は、従業員の同意がないと、無効と判定されます。つまり、就業規則脆弱性を抱えていて、悪意のある従業員が存在したら、零細会社であれば普通に破滅です。

2つ目の理由としては、テンプレート自体にも問題があります。

就業規則のテンプレートはググれば多々出てきます。厚労省地方公共団体が配布しているものや、社労士事務所のWebサイトで公開されているものもあります。Web以外には書籍の付録としても配布されています。これらが軒並みそのまま使い物にはなりません。

厚労省地方公共団体が配布しているものは、あくまでも従業員に不利益が生じないようには考えられています。一方で、雇用者側の視点は欠けた記述となっているため、考慮漏れが多々存在します。

Webや書籍の情報についても、最新の法運用Validな記述になっているか怪しい面があります。そもそも彼らの飯の種でもあるため、あえて記述が甘くなっている可能性も否定できません。

そのため、テンプレートを元に記述した場合であっても必ず社労士チェックが必要ですし、チェックしてもらった結果、ダメなポイントが大量出てきます。指摘してもらったところは当然手直しが必要になります。

うちの場合、2時間の無料相談×4回でやっと「内容的にはだいたいOKだけど、TYPOとかはありますね」というところまで持って行けましたが、初回はほんとに死ぬかと思いました。

就業規則を自分で作ったメリット

なんだかんだ言っても、零細企業で30万円だとか100万円だとか払うのは辛いので、その費用が浮くのは大きいです。あと、自分で書かざるを得ない以上、規則の内容を完全に把握することになるので、将来的に規則を改定していく際に雇用側の意向を完全に反映させた改定がやりやすく、委託するにしても「丸投げしか選択肢がない」という状態は避けられます。

このあたりは、外注ではなく自前でシステム作ると~みたいな話にまんま通じる話です。

就業規則を作成する上で知ったこと

就業規則を一度作ってから、それを厚労省の意向に合わせて改定をして人を雇うなりすると、補助金が貰えます。

正規雇用等転換コース
学生アルバイト(有期契約)を正社員として採用したケースでも補助金が貰える
短時間正社員
短時間正社員(フルタイム勤務ではない正社員)を新規採用or正社員から転換すると補助金が貰える

というのがIT系の会社では使いやすいところではないかと思います。

また、就業規則と関係はないのですが、人を新たに雇い入れると、法人税の免除が受けられることも知りました。

まとめ

スタートアップで一攫千金だ!!!!みたいな感じではなくて、割と手堅い路線でやっていく会社なら就業規則を作るべきだし、やましいところがなければ公開すればよいと思います。あと、せっかく公開したので、フォークするなり参考にするなりして頂ければ幸いな感じです。

就業規則のライセンスは忘れてたので、近日中に設定しておきます…。

追記:ライセンスの件はGitHubにIssueを立てたので、そちらをご覧ください。
ライセンスの明示 · Issue #4 · DenkiYagi/EmployeeHandbook · GitHub

追記2:GitHub就業規則を置いたのはファーストケースかもしれませんが、就業規則をWebに公開すること自体は以前から普通にあります。"就業規則 株式会社"等でググると採用ページに併記する形になっているものが見つかりますし、地方自治体・公立大学等の規則も公開されています。